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Das ist ein Tagebuch...

バイデンとNATO

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 見ているドイツ紙(ZEIT online)に、国際政治関連の記事が掲載されていたので、雑に和訳してみる。記事のタイトルは、"Nato-Gipfel: Bündnisfall Fernost"(NATOサミット:極東に対する同盟の事例) 。「ポスト・トランプの最初の NATO サミットからの最も重要なシグナルは、今、再び団結しているということである。しかし、それは完全には真実ではない。ジョー・バイデンは中国との対立に焦点を当てている。」マティアス・ナースによる分析。以下、内容である:

 


 それは調和のサミットであった。米国大統領のジョー・バイデンは、29カ国のNATO加盟国の国家元首と政府首脳によって、大きな安堵を伴って彼らの中心に迎えられた。ついに、確固とした多国間主義・大西洋横断主義者が再びワシントンを支配した。そして、調和のとれた新たな始まりのメッセージとともに、トランプ後の最初の会談の主な目的は、実際にすでに達成されていた。

 

 新大統領は以前、アメリカがNATO条約第5条に基づく支援を提供するという「聖なる」義務に完全にコミットしており、同盟は米国の安全にとって「重要」であると断言していた。もちろん、バイデンはまた、加盟国がGNPの2パーセントを防衛費に支出するという約束を履行するように求めている。これはトランプの考えではなく、2014年からのNATOの決定であった。当時の米国大統領はバラク・オバマであり、バイデンは彼の副大統領であった。

 

 NATO事務総長のイェンス・ストルテンベルクは、それ以来、あらゆる機会に、ヨーロッパが軍事費を著しく増加させていると指摘した。ドイツもまた、2014年以降、国防予算を当時の350億ユーロから、現在は530億ユーロに大幅に増大させている。しかし、パーセンテージで見ると、それでも2パーセントには達してはいないが、1.53パーセントは、30の加盟国すべての下位中央域(19位)にある。そして、ベルリンの財政計画を見ると、ドイツはさらに遅れをとっている。

 

 しかし、今回は数字が前面に出て来なかった。アフガニスタンも中心的な問題ではなかったが、NATO加盟国は今後数週間で軍隊を完全に撤退させる予定である。ヒンドゥークシュ山脈に20年近く駐留した後、この撤退は急いでいるようである。タリバンがすぐにカブールで政権に復帰する可能性があるという大きな懸念がある。アフガニスタンの任務が大失敗に終わらないことを確実にするために、NATOは将来、国外ではあるがアフガニスタン軍の訓練を継続したいと思っている。しかし、タリバンが再び権力を握るのを防ぐには、それで十分であろうか?


 しかし、ブリュッセルの議論も、それについてではなかった。むしろ、彼らは同盟の戦略的再編に集中した。ジョー・バイデンは就任の当初から、西側が立っている歴史的な「転換点」について語ってきた。彼は、米国とその同盟国が権威主義国家との対決、とりわけ中国との組織的な対抗に集中することを望んでいる。

 

 イェンス・ストルテンベルクは、この問題に関してアメリカと非常に一致している。彼はサミットの前に「中国の台頭は、我々の時代の最大の安全保障上の課題である」と、Der Spiegel とのインタビューで語った。「中国は我々の価値観を共有していない。その政府は、世界がこれまでに見たことのない方法で自国民を管理している。(...)同時に、中国は我々に接近しており、ヨーロッパの港湾、空港、電力網のような、重要なインフラストラクチャを管理しようとしている。」

 

 サミット後のストルテンベルクの報道機関向け声明では、中国に関する言及が多くを占めた。NATO中華人民共和国に対処しなければならず、それはその武力と偽情報によって同盟の利益を脅かしている。最終宣言は、「ルールに基づく国際秩序の体系的な課題」について述べている。

 

 今回のサミットから発せられる最も重要なシグナルは、北大西洋地域を超えた安全保障概念の地理的拡大である。NATOはインド太平洋地域に目を向けており、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなど、インド太平洋地域の「パートナー」との協力を強化したいと考えている。Die Welt am Sonntagとのインタビューで「NATOはヨーロッパと北米の同盟であるが、ますます競争が激化するグローバルな安全保障環境に対応する必要がある。我々はグローバルなシステム競争の時代にいる。」と、イェンス・ストルテンベルクが述べたように。

 

 これがすべてである。最近ベルリンの最も著名な外交政策通の一人が、「米国に対する中国の挑戦の中心性は、大西洋横断関係が米国政府の中国戦略におけるドイツとヨーロッパの役割の機能になりつつあることを意味する」と言ったように。実際、ワシントンの多くは、NATO独裁制に対抗する民主主義の世界的防壁の最重要の構成要素とみなしている。

 

 一方、ほとんどのヨーロッパのNATO加盟国は、依然としてロシアからの脅威を念頭に置いており、中国からの挑戦についてはさほど憂慮していない。ブリュッセルでのサミットは、アメリカの外交政策の中心が、最終的にインド太平洋にシフトしていることを彼らに明らかにしたに違いない。北大西洋地域に平穏があり、同盟国が協力して平和を維持するのは素晴らしいことである。しかし、世界政治の観点から、ワシントンから見た伝統的なNATO地域は、ますます周辺に移動している。

 

 次に来るものは何であれ。ストルテンベルクの言葉で、NATO が今日開かれた「新しい章」から続くものは何であれ、サミット参加者の意思によれば、そのような憂慮は、団結の新しい始まりを阻害するものではない。

 

 以上である。中国とその政治体制が自由・民主主義と相容れないというのはそのとおりであるが、これではまたかつての東西対立の再燃になるのではなかろうか?独裁や権威主義には対抗する必要はあるとは思うが、それを力でというのでは、真の解決にはならないのではないのか。

 

 新政権はまだ始まったばかりで、ポーズだけなのかもしれないし、実際にどうなるかはわからないが、気のせいかもしれないが、対中・対ロ政策に関しては、バイデンの多分にイデオロギー的な対応よりも、あのトランプのやり口のほうが、実利的で柔軟であったような気がする。